「ベンチプレスの重量を伸ばしたいのに、手首や肩が痛くて思い切り押すことができない…」
トレーニングを継続して扱う重量が増えてくると、このような関節の違和感や痛みに直面する方も多いはず。
せっかく自己ベストの更新を目指して努力しているのに、関節の痛みでブレーキがかかってしまうのは、非常に大きなストレスになります。
じつは、高重量のプレス種目で手首や肩を痛めてしまう原因は、筋力不足や気合いの問題ではありません。
バーベルを乗せる位置のわずかなズレや肩甲骨のセッティング不良、さらに重量に見合った保護ギアの未導入が引き金となっている可能性が高いんです。
そこでこの記事では、科学的なデータをもとにプレス種目で関節を痛めてしまうメカニズムと、今日から実践できる3つの関節保護戦略を徹底解説。
さらに、ガチトレーニー目線で厳選したおすすめの本格リストラップを5つピックアップしてご紹介します。
ケガのリスクを最小限に抑え、安全に高重量を扱って分厚い上半身を手に入れたいという方は必見です!
高重量のプレスで手首や肩が痛くなってしまう3つの原因
と思われた方もいらっしゃるはず。
しかし、例えどれほど入念に準備運動を行っても、重力を受ける関節の角度が崩れていれば、負担は一点に集中してしまうことに。
この項目では、生体力学的な視点からプレス動作で関節を痛めてしまう3つの原因を解説します。
1.手首が後ろに反り返り、軟骨や靭帯に負荷が集中するため

ベンチプレスやショルダープレスで手首を痛める最大の原因は、バーベルを手のひらの上側(指の付け根付近)に乗せてしまうことにあります。
この位置に負荷がかかると、手首が後ろへ90度近く反り返る「過伸展(過剰背屈)」という状態に。
本来であれば前腕の太い骨(橈骨)の真上で垂直に支えるべき重さが軸から外れ、手首の関節を無理やり折り曲げる強い回転力(トルク)が発生してしまいます。
その結果、手首の小指側にある軟骨や靭帯組織(TFCCなど)が強く圧迫され、鋭い痛みや違和感を招く原因になってしまうんです。
2.脇が開きすぎて肩関節の前側に過度なストレスがかかるため

大胸筋に効かせようと意識するあまり、肩甲骨を寄せずに脇を90度近くまで大きく開いてバーを下ろすフォームは非常に危険。
このような脇が開いた状態で深い位置までバーを下ろすと、上腕骨の先端と肩甲骨の屋根(肩峰)の隙間が狭まり、内部の腱や組織が挟み込まれやすくなります。
ここで、スイス連邦工科大学チューリッヒ校の研究グループが発表した、プレス種目における肩・肘・手首の動作と関節負荷に関する研究をご紹介しましょう。
この研究では、健康なトレーニング経験者を対象に光学式モーションキャプチャと3次元力覚センサーを用い、ベンチプレスやダンベルプレスなどで負荷重量を変化させた際の肩・肘・手首の関節角度と関節モーメント(負荷)を精密に計測。
その結果、挙上重量の増加に伴って肩関節の最大屈曲・内転モーメントおよび手首の負荷が比例して増大し、特にグリップの保持角度や上腕の軌道によって手首・肩にかかる力学的ストレスが大きく変動するため、適切な関節配列の維持がケガの予防に不可欠であることが実証されました(※1)。
つまり逆に言えば、手首の角度と上腕の軌道を正しくコントロールしない限り、関節へのダメージは蓄積し続けてしまうことを示しています。
3.グローブ一体型の簡易ラップでは高重量の負荷を支えきれないため

筋トレ初心者の頃に購入した「リストラップ付きトレーニンググローブ」を、重量が伸びてからもそのまま使い続けているケースは少なくありません。
グローブ一体型のラップは手のひらのマメ防止や軽いサポートには便利ですが、バンド部分が短く生地も薄手に作られています。
そのため、自分の体重に近い高重量のバーベルを受け止めた際にはゴムが簡単に伸び切ってしまい、手首の反り返りを止めることができません。
本格的に重量を伸ばしていくフェーズに入ったら、手首の保護に特化した単体のハードなリストラップへ移行することが不可欠です。
今日から実践できる!高重量プレスを安全に行うための3つの関節保護戦略
手首や肩の違和感を防ぎながら力強くバーを押し上げるためには、解剖学に沿ったフォーム改善と物理的な固定を組み合わせるのが最短ルート。
そこで以下の項目では、次回のトレーニングからすぐに試せる3つの実践テクニックを解説します。
1.前腕の骨の真上にバーを乗せる「ブルドッググリップ」を習得する

手首への負担を大きく減らすための握り方が、パワーリフターも実践する「ブルドッググリップ」です。
具体的な方法としては、まずはバーを握る際、手のひらを少し内側にひねり(回内)、親指の付け根の膨らみ(母指球)の下側にある硬い骨のラインにバーを斜めに当てましょう。
さらに、そのまま小指側から順番に指を巻き付けるようにして握ると、前腕の骨(橈骨)の真上にピタッとバーベルが収まるはず。
これなら、指先でギュッと強く握り込まなくても骨の柱で重さを支えられるため、手首が後ろに折れ曲がらず、押す力が100%バーへ伝わるようになります。
2.肩甲骨を寄せて下げ、脇を約45〜60度に閉じて押し出す

肩の前側を守るためには、ラックからバーを外す前の「肩甲骨のセッティング」が重要。
まずベンチに仰向けになったら、左右の肩甲骨を背骨に向かってギュッと寄せ(内転)、そのままお尻の方向へ向かってグッと引き下げましょう(下制)。
さらに、胸椎(みぞおち裏の背骨)に自然なアーチを作り、動作中は脇の角度を体幹に対して約45〜60度に保ったまま、みぞおちの少し上あたりへバーを下ろします。
こうして肩甲骨の自然な面(スキャプラプレーン)に沿って腕を動かすことで、肩関節の引っかかりを回避しながら大胸筋を最大限にストレッチさせることが可能になるでしょう。
3.手首の関節をまたぐ位置に「リストラップ」を正しく巻く

正しいグリップと合わせて必ず取り入れたいのが、分厚いゴム繊維で編み込まれた単体のリストラップによる物理的サポート。
しかし、ここで多くの人がやってしまう失敗が、腕時計をする位置(手首の関節より肘側)に巻いてしまうことです。
リストラップによって手首の反り返りを防ぐには、手首の小指側にあるポコッとした骨(尺骨茎状突起)を完全に覆い、手のひらの付け根に2〜3cmほどかかる高さで巻くのが正解。
手首の関節を上下にまたいでギプスのように固定することで、セット終盤で疲労してきても手首の角度が一切ブレなくなるはずです。
これで失敗しない!本格リストラップの賢い選び方
一口にリストラップと言っても、メーカーによって生地の硬さや長さが大きく異なります。
自分のトレーニングスタイルに合った1本を選ぶための、3つの基準をチェックしておきましょう。
1.種目や扱う重量に合わせて「生地の硬さ」で選ぶ

リストラップの生地には、大きく分けて「スティッフ(硬め)」と「フレキシブル(柔らかめ・標準)」の2タイプが存在します。
スティッフタイプは伸縮性が極めて低く、金属の添え木を当てたように手首をガチガチに完全固定できるため、ベンチプレスで100kg以上の高重量に挑む方に最適。
一方、フレキシブルタイプは適度な伸びがあり手首の形状にフィットしやすいため、ダンベルプレスやショルダープレスなど手首の微調整が必要な種目にも幅広く使えます。
初めての単体リストラップであれば、まずは扱いやすいフレキシブル〜中程度の硬さのモデルから始めるのがおすすめです。
2.巻きやすさと固定力のバランスが良い「長さ(50〜60cm)」で選ぶ

リストラップの長さは、短めの30〜40cmクラスから、競技用の80〜100cmクラスまで展開されています。
40cm以下だと手首を1〜2周しか巻けず固定力が物足りない一方、80cm以上になると毎セット巻き直すのに手間と時間がかかってしまいがち。
一般的なトレーニーが日々のジムワークで快適に使えて、かつ手首を3〜4周しっかりホールドできる黄金サイズは「50cm〜60cm(20〜24インチ)」です。
迷ったらまずは60cm前後のモデルを選べば、巻きやすさとサポート力の両面で後悔しないチョイスになるはずです。
3.マジックテープの幅と親指ループの耐久性で選ぶ

リストラップは強い張力をかけて毎セット着脱を繰り返すため、マジックテープ(ベルクロ)と親指ループの強度がその寿命を左右します。
そのため、安価な粗悪品を選ぶと、数ヶ月でマジックテープの粘着力が落ちてセット中に外れたり、親指ループの縫製がほつれてちぎれたりすることも。
幅広で強力なベルクロを採用している実績あるトレーニングギアブランドを選べば、数年間にわたって安全に使い倒すことができるでしょう。
筋肉料理研究家が厳選!おすすめの本格リストラップ5選

ここからは、固定力、耐久性、巻き心地を徹底比較し、ガチトレーニー目線で本当におすすめできる本格リストラップを5つご紹介。
それぞれの特徴やスペックを比較表にまとめましたので、ご自身の目標重量や種目に合った1本を見つける参考にしてみてください。
| 商品名 | 特徴・こんな人におすすめ | 長さ・硬さ | 目安価格 |
|---|---|---|---|
| SBD リストラップ |
【世界最高峰の固定力と耐久性】 ・世界中のトップリフターが愛用するIPF公認の絶対王者 ・圧倒的な剛性で高重量でも手首が一切ブレない一生モノ | 40cm / 60cm / 100cm (フレキシブル / スティッフ) | 約6,900円〜 |
| 鬼(ONI) リストラップ XX |
【高重量に特化した国内人気モデル】 ・極厚ゴム素材でSBDに匹敵する強力なサポート力を実現 ・ベンチプレス100kg超えを目指すハードトレーニーに最適 | 60cm / 75cm / 99cm (硬め・高反発) | 約3,850円〜 |
| Schiek(シーク) リストラップ 1124 |
【抜群のフィット感と肌触り】 ・しなやかな伸縮性でダンベルやマルチ種目にも使いやすい ・手首への食い込み痛が少なく中級者のステップアップに◎ | 約60cm(24インチ) (標準・しなやか) | 約4,500円 |
| ALL OUT(オールアウト) リストラップ |
【コスパ最強のエントリー決定版】 ・2,000円台の手頃な価格ながら十分な長さとホールド力 ・初めて単体リストラップを導入する方にイチオシの1本 | 約60cm (標準) | 約2,380円 |
| GOLD'S GYM(ゴールドジム) ループ付きリストラップ G3511 |
【老舗ブランドの安心感と扱いやすさ】 ・適度な柔らかさで初心者でも最初から違和感なく巻ける ・50cmの絶妙な長さで毎セットの着脱がスピーディー | 約50cm (やや柔らかめ) | 約3,300円 |
1.SBD リストラップ
「とにかく妥協のない最高峰のギアで手首を完璧に守りたい」という方におすすめしたいのが『SBD リストラップ』です。
こちらは世界各国のトップパワーリフターやボディビルダーが愛用するIPF(国際パワーリフティング連盟)公認のフラッグシップギア。
一般的な汎用ゴムではなく、SBD社が独自開発した幅広で高密度な特殊エラスティック素材を採用しており、巻いた瞬間に手首と前腕が1本の鉄の棒になったかのような一体感を生み出してくれます。
さらに、右手用と左手用で巻き方向が対称になるよう専用設計されているため、左右の固定バランスに一切の狂いが生じません。
日常の幅広いプレス種目で使うなら「フレキシブル・60cm(Mサイズ)」、超高重量のベンチプレスに特化するなら「スティッフ」を選べば、数年間ヘタることなくあなたの関節を守り抜いてくれるはずです。
とレビューでも、他の追随を許さない圧倒的なホールド力と、何年使っても劣化しないタフな耐久性が絶賛されています。
2.鬼(ONI) リストラップ XX
国内のパワーリフティング界隈で爆発的な支持を集め、高重量トレーニーの定番となっているのが武器屋・鬼ブランドの『鬼 リストラップ XX』。
こちらは従来モデルからゴムの配合と織り方を一新し、競技用ギアに求められる極限の硬さと強い反発力を実現しています。
また、手首の関節にガッチリと噛み合うため、100kgを超えるバーベルをラックアップした瞬間でも手首が後ろへ1ミリも負けません。
さらに、IPF公認のハイスペック仕様でありながら、価格は3,000円台後半〜と海外の高級ブランドに比べて手に取りやすいのも大きな魅力。
ベンチプレスのMAX重量更新を最優先に狙う方や、硬めのラップで手首を完全にロックしたい方にうってつけのモデルです。
とレビューでも、高重量に負けない圧倒的な剛性と、競技仕様でありながら優れたコストパフォーマンスが高く評価されています。
3.Schiek(シーク) リストラップ 1124
「ガチガチに硬すぎるラップは手首の皮膚が擦れて痛い」「ダンベル種目でも快適に使いたい」という方に最適なのが『Schiek(シーク) リストラップ 1124』です。
こちらは世界的なトレーニングギアブランドであるシーク社製で、肌触りの良いコットンと伸縮ゴムを絶妙な比率でブレンド。
また、60cm(24インチ)の十分な長さを備えており、引っ張る強さを変えるだけで「優しくサポート」から「強固なホールド」まで自在にテンションを調節できます。
さらに、角が立たず手首の関節にしっとりと密着するため、インクラインダンベルプレスやミリタリープレスなど、手首の角度を繊細に保つ種目でも抜群の使い心地を発揮。
安心の米国製クオリティで、ボディメイクやフィジークを目指すトレーニーに長年愛され続けている名作です。
とレビューでも、手首が痛くならないマイルドな装着感と、60cmの長さを活かした確かなサポート力の両立が支持されています。
4.ALL OUT(オールアウト) リストラップ
「まずは手頃な予算で、しっかり使える単体リストラップを試してみたい」というコスパ重視派にイチオシなのが『ALL OUT(オールアウト) リストラップ』。
こちあは2,000円台前半というリーズナブルな価格設定でありながら、全長60cm・幅8cmの本格サイズを採用しています。
また、適度なハリと伸縮性を持つ生地が関節をぐるりと3周以上包み込み、ベンチプレスや腕立て伏せでの手首の反り返りを強力にブロック。
さらに、幅広のマジックテープで着脱もスムーズに行えるうえ、カラーバリエーションが豊富でジムでのモチベーションを高めてくれます。
グローブ一体型からの卒業や、最初の1本としてこれ以上ないコストパフォーマンスを誇るベストセラーモデルです。
とレビューでも、価格以上のしっかりとした固定力と、初心者でも扱いやすいクセのない使用感に多くの高評価が集まっています。
5.GOLD'S GYM(ゴールドジム) ループ付きリストラップ G3511
フィットネス界の老舗ブランドならではの信頼感と、毎日のジムワークでの手軽さを求めるなら『GOLD'S GYM(ゴールドジム) ループ付きリストラップ G3511』がピッタリ。
こちらは長さが約50cmと標準よりわずかにコンパクトに設計されているため、インターバルの合間にサッと巻いて素早く外せる取り回しの良さが特徴です。
また、生地はやや柔らかめで馴染みが早く、買ったその日から手首の自然な動きを邪魔せずに必要なサポートを提供。
加えて、強化された親指ループと縫製により耐久性も高く、マシンプレスからフリーウエイトまでマルチに活躍してくれます。
長すぎるラップの扱いに不安がある方や、手首の細い方にも扱いやすい王道のスタンダードモデルです。
とレビューでも、着脱が素早く行える50cmのサイズ感と、手首に優しいソフトなフィット感が好評です。
関節を徹底保護して、怪我なくプレス種目の自己ベストを更新しよう!

高重量のトレーニングにおいて、関節の痛みは成長を止めてしまう最大の敵。
しかし、正しいフォームと信頼できるリストラップさえあれば、手首や肩への不安を完全に払拭して大胸筋や肩を限界まで追い込むことができます。
最後に、高重量プレスを安全に行うための重要ポイントを振り返っておきましょう。
- バーは指の付け根ではなく、前腕の骨(橈骨)の真上に乗せる「ブルドッググリップ」で保持する。
- 肩甲骨を寄せて下げ、脇の角度を約45〜60度に保つことで肩関節へのストレスを逃がす。
- リストラップは手首の骨の突起をまたぎ、手のひらの付け根に2〜3cmかぶせて巻くのが鉄則。
- 圧倒的な固定力と一生モノの耐久性を求めるなら、王道の『SBD』や『鬼 リストラップ XX』。
- しなやかな装着感やコスパを重視するなら、『Schiek』や『ALL OUT』が最適。
わずか数千円のギア投資とフォームの見直しが、数ヶ月間のケガによるトレーニング離脱を防ぎ、あなたの記録を別次元へと引き上げてくれます。
ぜひ今回ご紹介した関節保護戦略と本格リストラップを取り入れて、痛み知らずの力強いプレスを手に入れてください!
ちなみに、ベンチプレスやショルダープレスの重量が伸びてくると、手首や肩と並んで負担がかかりやすいのが「肘関節」。
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参考文献・引用論文
1.Schütz, P., Zimmer, P., Zeidler, F., Plüss, M., Oberhofer, K., List, R., & Lorenzetti, S. (2022). Chest exercises: movement and loading of shoulder, elbow and wrist joints. Sports, 10(2), 19. https://doi.org/10.3390/sports10020019









